1強多弱_ベネッセホールディングス2023年3月第三四半期決算

確認します。一言で言うとひどい数字としか言えません。
ベネッセは教育事業で知名度を持つ事業会社であり、近年は社会人の教育や介護事業にも手を広げています。ご存じの通り日本は少子高齢化で業績を支えていた若年層向けの教育事業が高速で逆回転し始め、年単位で大きく減少して業績に直撃しているように見えます。

成長事業の大学・社会人教育と介護事業は大きく伸びていますが、まだまだ売上や利益に対しての割合が低いため、業績に対して目に見える効果は出ていません。教育事業の減少を最大限に抑えつつ、これらの事業を伸ばしていくしか生き残れる道はないと思っています。

自分が小学校や中学校で勉強していた時と比較して、大きく時代が変わり、クラス単位や学校単位でなく、個人が学びたいことを選べるような時代になりましたし、事業もそう変わっていくべきだと思います。そうなった時に今のベネッセ社の多くの商品の体系(ミライシード、進研模試、Classiなど)は学校主導でクラス単位での導入しかできず時代にうまく乗れていないように思いますし、リクルート社のスタディサプリのような個人単位で学べる仕組みと比較して小回りが利きません。

強力な知名度と商品力があるだけに、小規模のベンチャー企業のように新規事業に注力できないことは、まさにイノベーションのジレンマのように感じます。

最近、小学生向けの進研ゼミを少し見ましたがゲーミフィケーションなどの観点を取り入れて近代的な商品になっていました。売っている商品は時代に合わせて改訂できていると思うので、もっと攻めの事業を出して欲しいです。まずはエニーカラー社と協業
して、VTuber/バーチャルライバーを教師にして教育を受けられるバーチャルクラスルーム事業や、カバー社と協業してタレントと一緒に授業を受けられるバーチャルラン事業を発表したら株価爆上げでしょう。

少なくとも、このままだと5年後は大きく減速してしまうため、なんらかの起爆剤となる新規事業が欲しいです。国内のUdemyは好調なようですがそちらの決算を見ると成長鈍化しつつありますし、何か新しい話題が欲しいですね。

とはいえ教育を主たる事業にして通期4000億円を売り上げる大きな会社なので、資金力を活かして競争を勝ち抜いて欲しいです。ミライシードのような小学校の教育支援にはロイロノートが先行していて、Classiのような高校の教育支援にはスタディサプリが先行している、などどの分野も1強になれない厳しい状況ですが、攻めの投資をしないとじっくりと死んでいくので今後の決算で素晴らしい数字を期待したいです。