ダブルエーに投資したい

女性向けの靴の販売を日本と中国に展開する会社でコロナ禍で大きく業績が減速したが、適切に判断して立ち回り大幅に回復しました。現状と今後について考察したい。

前期の決算をまず見てみます。

https://www.wa-jp.com/ir/library.html
2021年1月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2021年1月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

 四季報の予想と比較して売上はほぼ同水準、利益は大幅に超えた業績となっていました。前々期と比較すると減収減益になりますが、コロナ禍で大きく影響を受けたにもかかわらず脅威的な回復となりました。

https://www.wa-jp.com/ir/presentation.html
2021年1月期 決算補足資料

 緊急事態宣言による実店舗は稼働率が低下しましたが、その時流を読みyoutubeやインフルエンサーに広告費を投入してECの拡大を主導した判断は素晴らしかったと思います。在宅需要ではありますが、エンドユーザーは多数の選択肢がある中で選ばれているため、良い品質の靴を作ることと、適切な訴求戦略ががっちりハマった結果でしょう。
 テナントの不採算店舗を整理して、賃料が下落したアウトレットモールに出店したり、自社の顧客層が利用する場所に出店するなど分析/決断/投資のサイクルが機能しているように思います。CSRの取り組みで医療従事者への靴提供もメディアに取り上げられるなど費用対効果として良く、今後の顧客開拓という意味でも効果がありました。経営層が株の大半を保持しているため、迅速な意思決定ができることもこの会社の強みですね。
 また子会社化した卑弥呼も初年度で黒字達成しています。身内の情報で大変恐縮ですが家族が卑弥呼の靴の履き心地を気に入っていて好んで履いていました。元々品質がよかった中でダブルエーのノウハウを共有して最適化を行った結果かと思います。

 単純に卑弥呼を子会社化したダブルエーの時価総額が169億円しかないので、数値だけ見るとPER30倍のため割安感はないないですが、逆風のコロナ禍でこの脅威的な成長なので今後業績が大幅に伸びる予想しかできません。財務諸表に乗らない情報として店舗のメンバーでも意見できるフラットな組織や、卑弥呼の社長にオリエンタルトラフィックのアルバイトから新卒入社した新井氏が就任するなど適切に評価できる仕組みがあり、国内市場だけでなく海外への積極展開も好材料ですね。

 今後の展望として、自社ECの比率がどんどん伸びているため、自社システム部門の規模が気になります。現状ホームページなどでシステム部門の募集はしておらず外注している状況と予想しています。事業や決断のスピードが素晴らしいため、今後のことも考えて自社内で回せるような体制を構築できれば経費削減にもつながり、ECの事業加速など直接的な恩恵もあり、データ分析などさらにできることも増えていくのではと思います。(当然ですが大規模な採用はリスクとのトレードオフです)

 (正確な情報か定かではないため参考情報ですが)転職の口コミサイトを読むと、成長期の企業なので小売店や現場のスタッフは常に人員不足で、急な人事移動、環境によっては劣悪な場所もあるようです。一方で年数回店舗のスタッフが経営層と話す機会があり、提案や改善要望をあげて実際に取り入れられることも多数あるとのことです。業績としては大変すばらしく、今後も間違いなく成長する企業。さまざまな関係者と折り合いをつけて、更なる成長を期待したいです。